Blogブログ
心房細動に対する活性化第XI因子阻害剤の効果
2024年09月03日
非弁膜症性心房細動(Af)の血栓予防にワーファリンからトロンビン阻害薬や活性化第X因子(FXa)阻害薬が利用されるようになって10年程度が経過しています。ワーファリンはビタミンKサイクルを阻害することで機能的な凝固因子賛成を調整するのに対して、トロンビン阻害薬や活性化第X因子(FXa)阻害薬は凝固因子の酵素活性を阻害する薬剤で直接型経口抗凝固薬(DOAC)と呼ばれます。DOACのAfに対する血栓予防効果はワーファリンと同等ですが、出血事象、特に脳出血の合併が少ないことが知られています。より出血合併症がすくないターゲットとして注目されているのた活性化凝固第XI因子(FXIa)です。この論文では心房細動の血栓症の予防効果をDOACであるアピキサバン(FXa)阻害薬とFIXa阻害薬であるAsundexianを比較しています。約15,000人を無作為に二重盲検にて比較した、この第III相試験では、残念ながらAsundexian群で血栓事象が多く(HR 3.79)、試験は早期に終了しました。Editorialでは薬剤の投与量の適正についても言及されていましたが、一方で小規模研究(第II相)とのDiscprepancyが生じることがあることは、我々が認識しなければいけない点でしょう。第II相試験はLancet 2022; 399:1383-1390. Safety of the oral factor XIa inhibitor asundexian compared with apixaban in patients with atrial fibrillation (PACIFIC-AF): a multicentre, randomised, double-blind, double-dummy, dose-finding phase 2 studyです。FXIaの阻害は50 mg/day投与で、ほぼ完全に抑制されています。なお、余談ですが、タイトルみれば何の阻害薬かなんとなくわかります。ApixabanはXa、AsundexianはXIaが入っていますね。
N Engl J Med Published September 1, 2024 DOI: 10.1056/NEJMoa2407105 Figure 1より引用